社会科学

・ イデオロギー原理とは、「固い原理」である。基本的には、ある価値観を中心として他の価値観を許容せず、排除する原理である。これに対してコスモロジー原理とは、「柔らかい原理」である。多様な価値観を、その違いゆえに排除せず、その中に包み込み、多様な価値観同士の豊かな相互作用の中で、さらに新しい価値観が生まれてることを大切にする原理である。−『複雑系の七つの知』(田坂広志氏著)

・ コスモロジー原理に基づくビジョンを語るときに重要なことは、「言霊」である。言霊とは、生命力を持った言葉である。その言葉を聞くことによって、想像力が高められ、新しい価値の創造が促されるような言葉である。こうしたビジョンや言霊というものは、あくまでも柔らかい原理に基づくものであり、それは、あまりに厳密かつ具体的な言葉で語られるべきではなく、また、あまりに難解かつ抽象的な言葉で語られるべきでもない。これからの企業経営においては、ますます、このビジョンと言霊の重要性が増してくると思われる。経営者が深く理解しおくべきことは、「言葉が世界を創る」ということである。すなわち、経営において未来を語るということは、予測を語ることではなく、何よりも意志を語り、希望を語り、夢を語ることである。そして、こうして語られた生命力あふれる言葉こそが、力強く未来を創造していくのである。−同上