ハジメニナニヲオモッタカ

欠けていた三本目の腕を
傘立てのなかで見つけた
一億年前 その明日に
必要のない一本の指を
どうキャンセルしようかと
下りエスカレーターを
駆け上りつつ
思い巡らした

入札期限は午後230
ロビーから
テレフォンカードで本社とコンタクト
レンズの花火よ
廊下の端を照らしてくれ と祈るそばから
不思議に
三本目の腕が
林檎をもごうとしている

透明な色体へと伸びる腕
指が繁殖しすぎて
ビタミンCが届かない
期限まであと2分というのに
僕はまだ萎えていて
こんな時にも
カラスの歌なんか繰り返している
聞こえる「東京ラプソディーでも
活気づけに行けば
捨てて」

流れを止めるわずかなひとつの
クリップを
解く 一億年前の明日(だっけ?)

理路整然と方程式を組む
猫の毛が要る
解くために
黙する人と
消える人と
焦る人が OK